1.頚椎捻挫型
むちうち症のうち軽度のもので約80%を占めます。首をとりかこんでいる筋肉・靭帯などの損傷や椎間関節の捻挫による疼痛・圧痛・運動制限がみられ、「寝違え」の症状に似ます。症状は知覚異常や頭重感・頭痛・上肢疲労脱力感などの不定愁訴ですが、二次的に発症する斜角筋症候群では前腕と手の知覚異常がみられることもあります。約3週間で軽快に向かいますが、数ヵ月不定愁訴※1が持続することもあります。
※1不定愁訴(ふていしゅうそ)
頭重感、イライラ、疲労感、不眠など、なにか体調が悪いという自覚症状を訴えますが、検査で原因となる疾患が見つからない状態を指します。患者の訴えは強いが主観的かつ様々で客観的所見に乏しいのが特徴です。
2.神経根型
椎骨から出ている神経が椎間孔内外で圧迫されて、さまざまな症状が現れます。頭部から上肢までの神経症状(しびれ、痛みなど)を呈して、咳、くしゃみ、頚部の過伸展・側屈回旋により症状が増悪します。検査では、頚部を動かして確認するスパーリング(Spurling)テスト、ジャクソン(Jackson)テストなどが陽性で、他覚症状として知覚異常、深部腱反射の減弱・筋力低下が現れます。
3.頚部交感神経症候群(バレ・リーウー症状)型
交通事故などによる頸椎損傷で、頚部交感神経が過度に緊張し椎骨動脈が攣縮状態となり頭部への血流が低下するために起こります。他覚所見に乏しく、後頭部・項部痛、めまい、耳鳴り、吐き気、視力障害、顔面・上肢・咽喉頭部の知覚異常、夜間上肢のしびれなどの不定愁訴を主体とします。
4.脊髄症状型
上位頚髄が障害された場合、横隔神経が損傷され呼吸麻痺により死の転帰をとることもあります。症状は下肢よりも上肢に著明に現れます。
※上記種類の混合型も多く見られます。
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